大学院オンライン授業 zoom文字起こし機能について

「大学院授業を英語で受けていて、何かコツなどありますか?」とご質問をいただくことがあります。
 
便利な機能として、zoomの文字起こし機能があります。本日は、この機能についての感想を述べたいと思います。
 
これは、ホストが許可すれば、全文リアルタイムで文字起こししてくれる機能です。先日の授業で、この機能を使いながら受講してみました。
 
この機能の良い使い方は、「今の単語、わからなかった!」という時に確認の意味で使うことでしょう。
 
授業の理解を、zoom文字起こし機能に頼ってしまうと、結局授業を「聞く」のではなく「読む」ことに集中してしまいます。また、文字起こし機能が優秀すぎて困る側面もあります。語り手の口癖まで、zoom文字起こししてくれるので、読みにくい文章が出来上がっていくのです。例えば、「disease..., well, this disease..., disease itself, ah, is...」のように、同単語を繰り返してしまう、人ぞれぞれの語り癖がありますよね。その語り癖も上手に再現されるのが文字起こし機能でして、読むことに集中している時に、語り癖が入ってくると、混乱してしまいました。
 
でも、聞き取りにくい単語を文字起こししてもらえるのはとても有難く、その単語ひとつわかると意味が通じるような経験もできました。
 
母国語以外で授業受講の際は、zoom 文字起こし機能、おすすめです。

Youtubeで緩和ケアの勉強をする時代

私が通学しているKCLの授業や学生の声を聞くことができるyoutubeサイトをご紹介します。入学を決める前に知りたかった・・!大学院に行くほどはないけど、何か学びたいなという方、また、大学院を検討していらっしゃる方は、是非ご覧ください!
https://www.youtube.com/user/CSIKCL

この頃は、KCL以外にも、さまざまな大学がyoutubeで授業を公開してくださっているので、学びの幅が本当に広がりましたね。逆に考えると、アップデートをしていかないと、数年後には置いていかれる時代とも言えますね。背筋が伸びる思いです。

3月8日は国際女性デー

1904年に制定された、3月8日の国際女性デー。本日は、ジェンダーに関わらない労働力と、推薦図書について少しだけ。
 
女性活躍について、以前「女性にも人権があるし可哀想だから引き立ててあげないとね」とおっしゃる男性にお会いしたことがあります。しかし、労働人口が減少する日本において、女性活躍は、「可哀想だから推進してあげよう」という段階ではないのです。女性活躍というよりも、ジェンダーに関わらず誰もが働くことのできる社会作りは急務の課題です。
 
高齢社会で労働人口が減少し、同時に平均寿命が延び、女性だけでなく男性も親の介護が必要になり、男性も病気でキャリアトラックから一時的に離脱する可能性がある現代日本では、ジェンダーに関わらず持続可能な働き方を推進することが必須なのです。
 
そのためには、「男性が意識を変えるべきだ」と揶揄するのではなく、女性にも沢山努力の余地があります。おすすめの女性キャリア本についてはまた別の記事で述べたいと思います。耳が痛いことばかり書いてありますが、キャリアの本はご一読の価値ありだと思います。
 
ところで本日の推薦図書は、「6時に帰る チーム術」小室淑恵さんの本です。かつての上司に紹介していただき、目から鱗の本でした。なぜ6時に帰ることがチーム全体にとってプラスに働くのか、6時に帰るためにはどのように工夫すれば良いのか、について述べてあります。大切なことは、早く帰ることではなく、「ジェンダーに関わらず誰もが持続的に働くことのできる社会作り」です。
 
組織作りをする時も、誰もが生き生きと働ける組織を目指していきたいと、国際女性デーに改めて思いを強くしました。

第2モジュール授業を患者さんにどう還元するのか?

第2モジュールでは、癌及び非癌疾患の症状マネジメントについて学んでいます。日本では、非癌の緩和ケアの保険適応はまだ心不全(その中でも救急搬送の回数などにもかなりの制限があります)だけです。また、非癌疾患に対しては医療用麻薬の使用方法がかなり制限されています。しかし、英国では、非癌の緩和ケア(COPD、神経疾患、認知症など)も多く行われ、それについて勉強できるのが、大学院の大きな魅力だと思います。
 
非癌の肺疾患の患者さんは日本にも多く、在宅医療でお会いすることがあります。息苦しさを抱えたまま暮らされる患者さんに、可能な限りの薬物治療を行い、生活環境の整備を行います。しかし、病気の特性上、肺自体の組織を破壊して進行するものもあり、必ずしも完全に緩和できる症状ばかりではないのです。そのようなとき、医療者である私たちは、患者さんの辛さを思い、とても悔しく悲しい思いを何度もしました。
 
今回の授業では、エビデンスに基づいた、非薬物治療も学ぶことができています。薬物治療法は、保険の関係で国によって異なる部分もありますが(医療用麻薬以外は大きくは変わらないことが多いですが)、非薬物治療は、どの国にいても行うことができます。
 
第2モジュールで非癌の緩和ケアのエビデンスに基づいた非薬物治療を学ぶことで、少しでも患者さんの症状が軽くなるように努力できればと思います。

第9回 医学生・若手医師セミナーでの講演

本日、緩和医療学会主催 第9回 医学生・若手医師のための緩和ケアセミナーにて、キャリアパスについて講演する機会をいただきました。
 
 
緩和ケアは、高齢化の進行や、治療法の拡大によって、ますます需要が高まっています。そして年々、専門研修施設は増えています。それでも、多くの科と比較すると、医学生や若手医師にとって、まだまだ専門研修へのアクセスはしにくいようです。専門医が他科に比較して非常に少なく、全ての大学・初期臨床研修施設に緩和医療専門医がいるわけではありません。医師キャリアの若い頃に出会いがないので、情報が入りにくいことも関係していそうです。
今回は、緩和医療専門医のキャリアにご興味ある方々が参加してくださっていたので、主に女性医師のキャリアを中心にお話しました。質疑応答では、大学院に関する質問もいただきました。英語、オンライン留学にご興味があられる方々にとって、このブログも何か少しでもお役に立てれば良いなと思います。

オンライン大学院のメリット、デメリット

実は私にとって、KCL大学院が初めてのオンライン型学習ではありません。KCL入学前に、オンライン+オンサイトのハイブリッド型で勉強を行う、東北大学臨床宗教学教養講座 http://www2.sal.tohoku.ac.jp/p-religion/2017/cn7/pg29.html
にも通学していました。
 
オンサイト学習とオンライン学習を比較すると、仲間作りや情報交換の点で、オンサイト学習の方に軍配が上がると思っています。課題や試験の情報を交換するなかで、もちろん友情も育むことができるでしょう。さらに、キャンパスの雰囲気を享受し、その街に異国人として住み、悩み、異国の文化を学んでいくことは何物にも変え難い魅力です。
しかし、オンライン学習には、体系的に勉強したいと思う分野の学習に、どこにいてもアクセスできるという魅力があります。それは、引っ越し、仕事、キャリア(場合によっては子どもや配偶者のキャリアも)などを大きく動かさなくて良いという意味でもあります。金銭的にもキャリアの面でも、オンライン大学院という選択肢は、学ぶことへのハードルを大きく下げてくれました。
 
私も、元々は、オンサイト学習を望んで準備をしていました。そのような中、コロナ、妊娠出産、勤務状況の変化があり、「このまま大学院進学は諦めるしかないかな」と思うようになりました。しかし、オンライン大学院留学という選択肢に出会い、悩みながらも一歩を踏み出すことができました。
 
オンライン学習は、諸事情があっても学ぶことを諦めたくない方々に、お勧めのキャリア選択の一つだと思っています。

ブログ開設のきっかけ

このブログは、「海外大学院オンライン留学に迷う方にとって、少しでも参考になれば」という思いから始めました。

海外大学院オンライン留学は、インターネットの普及とともに増えていましたが、更に拍車をかけた出来事が、2019年-2020年のCOVID-19流行だったでしょう。今私が勉強しているKCLの緩和ケアコースも、COVID-19がきっかけで、オンラインコースが立ち上がりました。
オンライン留学にするか、それともオンサイト留学(現地に居住する方法)にするか、私自身も悩んでいた頃、日本語と英語で、ネットで情報を検索しました。しかし、広がり始めたばかりの海外大学院オンライン留学という選択肢ですから、情報にはまだ限りがあるように感じました。
進学後、オンライン留学についての相談をいただくこともあり、このブログを解説しました。
また、臨床医として働き、育児や家事をしながら勉強を続ける上で役に立っていることや工夫していることも、女性医師や女性医学生さんを中心によくご相談いただきます。その点も、書き進めていきたいと思います。