第2モジュール 課題について その3

3回目は、課題提出で学んだことについて述べていきます。
 
ステマティックレビューについて学んだこと、ガイドラインの作り方を学んだことよりも、もっと大きな収穫は、新しい勉強法に慣れたということだと思います。具体的には、日本語の教科書、英語の教科書だけではなく、動画をどんどん活用して勉強するということです。
 
途中まで、教科書にこだわり、探していたのですが、大学院OGに「教科書で学ぶ時代ではないようです。」と教えていただき、目から鱗が落ちました。citationのサイトを使う、pubmedを使うなど、PC画面を使った作業が多い時代に、紙(静止画)で学ぶという方法は、合わなくなっているのだと実感しました。
 
私はYoutubeや動画サイトにまだ馴染みがなく、どうしても紙の本を頼りがちでしたが、この経験から、動画学習の新しい可能性を感じ、もう少し動画学習にも貪欲に挑んでいこうと思いました。フレーズにするのであれば、「学び方の学び直し」と言えます。
 
この、「学び方を学び直し」という経験は、30代で社会人学生をしているメリットだと思います。
 
論文への向き合い方、ガイドラインへの向き合い方、そして学び方の学び直し、この3点が、第2モジュールの大きな収穫でした。

第2モジュール課題提出までの道のり その2

2回目は、事前に勉強しておけば良かったこと、事前に準備しておけば良かったことを記載します。
 
①論文管理方法を決めておく
 大量に読む必要があるので、決めておくと良いです。随分前からあやふやにしていたツケが回ってきた・・と思って、これを機にしっかり整えました。
②システマティックレビューについて動画で勉強しておく 
 Youtubeにも上げていらっしゃる、臨床研究・ピアサポートグループさんの動画がおすすめです。サイテーションソフトの使い方なども動画で詳しいご説明があります。有料ですがfacebookグループもあります(課題提出後に私も参加しました)。
③システマティックレビューを何本も読んで、考察の概要を日本語で考えられるようにしておく。
 日本語でもシステマティックレビューにどのような考察を書けば良いのか分からないのに、英語で書くことはもちろんできません。
 
もちろん、事前に研究のベースがあるに越したことはないと思います。ただ、研究にあまり触れることがなく臨床メインの勤務医を続けてきた先生方・臨床メインの看護師さんでしたら、上記のようなことを事前に心掛けて過ごされると、大学院の課題をもう少し楽しみながら取り組めるだろうなと思いました。
 
 

第2モジュール課題提出までの道のり

第2モジュール課題の合格の知らせが届き、安堵しています。英語で3000 wordsでシステマティックレビューを書くという課題でした。peer reviewerがいないということ以外は、システマティックレビューの論文を書くのと同じプロセスを踏みました。
 
これから、課題について、3回に分けて投稿します。
 
1回目(本稿)は、第2モジュール課題提出までに必要な時間、経過を記載します。
2回目は、事前に勉強しておけば良かったこと、事前に準備しておけば良かったことを記載します。
3回目は、課題提出から学んだことを記載します。
 
課題提出までに必要な時間は、今までにSystematic reviewを書いたことがあるかどうかで大きく変わると思います。書いたことがない方への推奨は、第2モジュール終了後すぐに取り掛かることです。そうすると、約55日間ほど猶予があります。
 
私は、Systematic Reviewを書いたことがなく、一つずつ学ぶところから始めました。55日間の猶予をフルに使いたいところです。
 
しかし、仕事復帰、保育園準備、保育園の洗礼などで、すっかり予定はずれ込み、私の場合には、提出期限の23日前から本腰を入れて取り組み始めました。家族の協力を得て、少なくとも1日1時間、長い日には5-6時間、課題に取り組みました。夫(最大功労者)、義実家、実家に感謝です。
 
最後に、記録として、具体的にどのような内容に時間を使ったのかについて、日にちごとの勉強内容を記載しておこうと思います。いかに研究のど素人が齧り付いているかが見えるかと思います。大変お恥ずかしい限りですが、もしかすると来年度以降どなたかオンライン大学院へ進学なさった際に参考になればと願います。
 
day1 課題要綱を隅々まで読み込む。
day2 昨年評価A,Cのレポートを読み込む。大学のSystematic Review勉強サイトを読み、e-learningを受講する。KCL図書館ガイダンスでオンライン授業を受講する。
day3 検索エンジンでの* や! の使い方を復習(以前日本でも何度も何度も教えていただいたのに忘れている)。MeSH検索する。日本語で勉強したくなって日本語教材を探すが簡単には見つからない。
day4 OGの先生方に連絡してHelpを求める。
day5 OGからの返事で「おままごとでも良いから提出する」ことが大事だと知り、とにかく分からないなりに手を動かす。動画などを教えていただく。CitationのためにEndNOTEを導入。
day6 MeSH検索を繰り返す。Kings図書館のSystematic Reviewのためのオンライン授業を再度受講。全てが分からなくなり混乱したためKCLの担当教官に悩みを相談。
day7 Rayyan、有用な動画をOGから教えていただき、動画学習。
day8 動画学習。
day9 子の熱発で学習は中断。
day10 KCL教官からアドバイスをいただく。疲れ果てたので、女性キャリアの本を5冊ほど乱読してモチベーションを保つ。動画学習しながら書き始める。
day11 inclusion criteria, exclusion criteriaに照らし合わせて絞り込んだ論文を深く読む。
day12-15 論文を読み進める。
day16 riskを考える。
day17 Methodを書く。
day18 Quality Assessmentを書く。
day19-21 Discussionを書く。
day22 締め切り日。提出時間ギリギリまで日本人メンターに相談に乗っていただき、どうにか提出。

SNSを学習実践に活かす

前回の記事で、「同級生はWhatsappで繋がっており、相談しながら進めることができるのが有難い」と書きました。私のようなノンネイティブにとって、SNSは有難いツールです。
SNSを学習実践に活かす」というテーマで、面白い研究を知りましたので、ご紹介しようと思います。
 
医療系大学生を対象としたコースで、twitterで議論を行ったところ、普段発言をしないような学生も発言の不安を取り除くことに役立っていました。また、最終的にはSNSを使用したグループの方が、授業内容理解も進んだということでした(Junco et al. The effect of Twitter on colleage student engagement and grades. JCAL.2011, Vol27, p119-132.、バトラー後藤裕子(2021).「デジタルで変わる子どもたち」.ちくま新書)。
 
文字でのやりとりは、ノンネイティブにとって大変ありがたいと感じていましたが、その理由は、もしかすると、上記の論文にあるように、発言の不安を取り除くことができるからかもしれません。何度も文法ミスを見直して投稿できること、また文脈の流れを確認しながら投稿できることは大きな心理的安全性に繋がります。zoomのチャット欄での質問も、非常に行いやすく、私は授業で活用しています。
 
SNSが学習環境に入ってきたのは、私が大学生の頃でした。当時はスマートフォンへの移行、LINEの普及、書籍のデジタル化などの波が一気にやってきて、大学生活の前半と後半では全く違う学習環境になっていったように思います。
それから10年弱が経過し、今では、海外の授業を自宅で受け、海外の同級生とSNSで繋がりながら課題をする時代になりました。10年後には、VR世界が拡張して授業を受けているのでしょうか。ノンネイティブが少しでも学習についていきやすくなりますように。より良い学習効果を目指して、さまざまな方法に挑戦していきたいですね。
 

第2モジュール授業が終わりました。

第2モジュールの授業が2週間で終わりました。時差のため、毎晩24時近くまで授業だったので、後半は息切れでしたが、乗り切れて良かったです(授乳と寝かしつけを代わってくれた家族に感謝)。
 
それぞれの授業へのフィードバックを送って、モジュール終了となります。新しい学びはあったのか、事前録画宿題は使いやすかったか、などを各授業に対して評価していきます。その評価に合わせて翌年度の授業は細かく組み替えられています。
 
さて、今週からは、レポート作成です。レポートは、ノンネイティブスピーカーにはハードルが高いです。今回は、systematic reviewの下地を作っていくようなレポートです。先生方のサポートが手厚く、メールでお伺いすることができ、また同級生はWhatsappで繋がっており、相談しながら進めることができるのが有難いです。

緩和ケア 国外コンテンツ オンラインとオンサイト

前回、国外コンテンツで学ぶメリットをお伝えしました。そこで今回は、国外コンテンツで緩和ケアを学ぶ方法についてご紹介します(2022年3月現在)。
 
(短期オンラインコース
・Harvard Medical School Center for Palliative Care
以前はオンサイトで行われていましたが、現在はオンラインになっています。あのTulsky先生がCourse directorにいらっしゃいます!
 
(オンライン大学院)
  1. Cardiff University Palliative Medicine for healthcare professionals (MSc)
    歴史ある大学で、同時に、オンライン大学院も長く運営されています。そのため、私も当初入学を考えていた大学です。私は、シシリーソンダースさんにゆかりのある大学という点で、最終的にはKing's に決めたのですが、最後までとても悩みました。
  2. King's College London Palliative Care MSc
 私が学んでいる大学院です。 COVID-19流行をきっかけに、オンラインが開始されました(私たちが初代オンライン世代になります)。現在はハイブリッド型で、教室からの参加も認められていますが、実際にはオンラインで参加する生徒が多数です(15人オンライン、3人オンサイト、など)
 
podcast
GeriPal podcast
UCSFの先生方がホストとして、緩和ケア業界で話題の論文について著者を招いて話すpodcastです。全文scriptがありますから、DeepLで内容を把握することも用意です。ホストの先生方が毎回ゲストの希望に応えて歌を歌われるなど、ユーモアにも溢れた番組です。実は私は留学中に、収録現場に立ち合わせてもらったことがあります!大感激でした。
 
(研究系)
  1. ESMO Palliative care fellowship
    ESMOとはEuropean Society for Medical Oncol ogyのことです。ESMOでは毎年、臨床見学と研究者枠で募集をしているようです。奨学金も出していただけるようです。
 
 

海外コンテンツで緩和ケアを学ぶメリット

トワイクロス先生の本をはじめ、多くの他言語の教科書が翻訳・出版されている現在、海外コンテンツで緩和ケア学ぶメリットは何でしょうか?
 
日本国内のコンテンツと比較して、緩和ケアの国外コンテンツの一番の魅力は、非癌の緩和ケアについてだと考えています。私自身、非癌緩和ケアを体系的に学びたく、KCLの大学院を選択しました。
 
日本では、非癌の緩和ケアは適応が非常に限られていることもあり、まだまだ発展途上です。しかし、米国では、老年医学から緩和ケアが派生した経緯もあり、非癌疾患にも緩和ケアを行う文化が根付いています。また、英国では、全ての疾患に対して開始されたホスピス文化から緩和ケアが発展しており、現在も非癌疾患に対して非薬物的介入を積極的に行っています。
 
次回、緩和ケアに触れることができる国外コンテンツをいくつかご紹介しようと思います。